相続のキホン

”相続””争族” にならないために

相続の基礎知識・相続手続き・財産の分け方・トラブル防止策・トラブル事例など、知って安心の知識をわかりやすく解説しています。

●目次
①はじめに
②相続って何??
③相続手続きって何するの??
④財産はどうやって分けるの??
⑤“争族”にならないために
⑥トラブル事例

相続手続き 遺言書作成 福岡
全ての人に必ず起こる相続。
「まだまだ先のことだから・・・」「うちは絶対大丈夫・・・」など様々なことをお考えの方々がいらっしゃると思います。
ですが、世の中何が起こるかわかりません。
いざ相続に直面した時にどのように対処するのか。準備があるのとないのとでは結果が全く変わってきます。
死亡届を出して、相続人の調査をして、相続財産の調査をして・・・。
相続が起こると多くのことをやらなければなりません。そんな中で、争いが生じてしまったら、家族が崩壊してしまったら・・・。こんな不幸なことはありません。調停や審判、裁判になる可能性もあります。
「金持ち喧嘩せず」とあるように、人と争うと無駄な出費も出てしまいます。

相続される方が望むことは何より家族の幸せです。

本ページは、相続が起きた時に、みなさんが「相続される側になったとき」、「相続する側になったとき」のための相続の基本的な知識を解説しています。
ご家族の幸せのためにご参考にしていただけると幸いです。

相続って何??

相続とは、人が亡くなった時に、その相続人が被相続人(亡くなった人)の財産を引き継ぐことです。
つまり、人が亡くなった時は必ず相続が起こります。
財産には、不動産や預貯金などのプラスの財産だけでなく借金などのマイナスの財産も含まれます。
そして、民法という法律で相続人になる人(法定相続人)が定められています。
この民法の定めによらなくても被相続人は遺言によって、法定相続人とは別の人に財産を受け継がせることも可能です。

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相続手続きって何するの??

相続手続きと聞いても、具体的にいつまでに何をどうすればいいのかと思われる方も多いのではないでしょうか。
一般的には下記のような手順です。

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財産はどうやって分けるの??

諸々の相続手続きの中で、調査の結果、相続財産が確定し相続人も確定しました。
これでやっと相続財産を受け継ぐ準備ができました。

「ん?・・・・・・・」

財産はどうやって分ければいいのでしょうか。財産を分けると言ってもたくさんの方法があります。
財産の分け方は、大きく分けると3つあります。

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そして、遺産分割協議の方法で相続する場合は更に細かい分け方があります。

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●現物分割
財産を現物のまま分割すること。例えば、家は妻、預金は長女、株式は長男など。
●換価分割
財産を売却し、現金で分割すること。
●代償分割
財産を一人又は一部の相続人が受け継ぎ、その代わりにその他の相続人に相続分に相当する現金などで支払うことにより分割すること。

●マメ知識
平成25年度税制改正大綱案が発表されました。これによると平成27年1月1日からの変更です。
注目すべきは、相続税の基礎控除額の大幅カットです。改正前の基礎控除額は(5000万円+1000万円×法定相続人の数)だったのが、
改正後の基礎控除額は(3000万円+ 600万円×法定相続人の数)に減りました。

具体的に計算をしてみましょう。例えば法定相続人が妻1人、子1人の場合。

・改正前
5000万円+1000万円×2=7000万円
基礎控除額が7000万円となり、相続財産が7000万円以下なら相続税はかかりません。

・改正後
3000万円+600万円×2=4200万円
基礎控除額が4200万円となり、相続財産が4200万円以下なら相続税はかかりません。

改正前の基礎控除額が7000万円、改正後の基礎控除額が4200万円。
なんと4割も基礎控除額がカットされてしまいます。
財務省等の統計によれば、税制改正後の相続税納税対象者は改正前の1.5倍になるそうです。

相続税負担が増えると、それを納付するための納税資金も必要になってきます。
そのような状況では、遺産をめぐって遺族の中での争いが生じる可能性も増えるであろうと思われます。
“争族”にならないためにも、「遺言」等を活用してトラブルを回避されることをお勧めします。


相続手続き 遺言書作成 福岡はじめにも述べましたように、相続は全ての人に必ず起こります。
その相続財産をめぐって遺族がもめてしまう“争族”にならないようにするためには、どうすればいいのでしょうか。
トラブルを完全に防ぐということは難しいかもしれませんが、対策をすることである程度のトラブルは回避できます。

「どの財産を誰にどれくらい残すのか」をいうルールを相続人たちに作ってあげて、もらう側の話し合いではなく残す側の意思を尊重してもらうことで、争いは回避できます。
このルールづくりのために、「遺言」を活用することをお勧めします。
ただ、「遺言」と言っても様々な書き方がありますので、いい加減な「遺言」を作ってしまうと、かえってトラブルを招きかねません。
例えば、遺留分の存在を知らないがためにトラブルが起きてしまうことや、付言が書き記されていないがために納得しない遺族がいる場合や実は名前も知らない兄弟姉妹がいる場合などのことがあります。

相続が起きても、家族円満で幸せな人生を送れるようにトラブルを予防することを強くお勧めします。

以下、ご参考までにトラブルが起こりやすいため、「遺言」を準備しておいたほうが良い方を例示します。

子どもがいない人
子どもがいない場合の法定相続人は、配偶者と直系尊属や兄弟姉妹になるため、同居やよくお世話したなどの事情でトラブルが起こる可能性があります。
再婚した人
前配偶者との間の子どもや現配偶者との間の子どもがいる場合はトラブルになる可能性があります。
独身の人
独身の場合の法定相続人は、直系尊属や兄弟姉妹になるため、同居やよくお世話したなどの事情でトラブルが起こる可能性があります。また、寄附などをしたい場合も「遺言」が必要になります。
お世話になった方がいる人
法定相続人以外の方に財産を分配したい場合は、遺贈という方法で分配するので「遺言」が必要になります。
事業承継が必要な人
事業の後継者と相続人との間でトラブルが起きる可能性があります。
自分で分配したい人
自分の思うように財産を受け継がせたい場合は、「遺言」による他ありません。「遺言」がない場合は、法定相続か遺産分割協議になってしまいます。

トラブル事例

●事例その1
子どものいない夫婦。その遺産の行方は・・・・?

相続 手続き 遺言書 福岡市西区 糸島市 佐賀県唐津市福岡正(75)
公務員として40年間働き、定年退職後は念願の畑を持ち、妻と一緒に毎日野菜を作っている。

相続 手続き 遺言書 福岡市西区 糸島市 佐賀県唐津市福岡泰子(72)
夫の40年間の公務員生活を支え、定年退職後も夫と一緒に楽しい日々を過ごしている。
夫にとって唯一無二の良きパートナー。

相続 手続き 遺言書 福岡市西区 糸島市 佐賀県唐津市福岡悪男(73)
福岡正さんの弟。独身。商社に40年間勤め、定年退職。定年退職後は、酒とギャンブルに明け暮れる毎日。遊ぶお金がなくなり、複数の消費者金融から多額の借金を抱える。

相続 手続き 遺言書 福岡市西区 糸島市 佐賀県唐津市ポチ(2)
正と泰子の愛犬。捨て犬のポチを福岡夫妻が拾う。ポチはいつも二人と一緒で、畑で遊びまわるのが日課。
今では二人にたくさんの元気を与え、子どもがいない二人にとってはなくてはならない存在。

福岡夫妻はいつものように朝5時に起き、ポチと一緒に散歩に出かけます。散歩の後は、朝ご飯を食べながらゆっくりとした時間を過ごします。二人の大好きなひとときです。
そして、いつものようにポチも連れて畑へと出かけました。

正さんは畑を耕していましたが、泰子さんはポチの大好きなぬいぐるみがないことに気づき、自宅に取りに戻りました。
泰子さんが畑に戻ってくると正さんが倒れていました。駆け寄って何度も呼びかけますが返事がありません。
泰子さんはすぐに救急車を呼び、近くの病院へと運び込まれました。

待つこと1時間・・・・。

手術室から出てきたお医者さんから話を聞いた泰子さんはそのまま地面へと倒れこんでしまいました。
心筋梗塞で、正さんはこの世を去ってしまったのです。

あまりに急な出来事に泰子さんはご飯も喉を通らず、ポチを見ると正さんとの楽しかった日々を思い出し、涙がこみ上げてきます。泰子さんは葬儀が終わっても別れを告げられず、何か月も深い悲しみに浸っていました。

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そんなある日、弟の悪男さんから一本の電話が掛かってきます。

「兄貴が亡くなったと聞いたんだが、遺産はいくらあるんだ?」
葬儀にも出席しなかった悪男さんからのあまりに無神経な電話に泰子さんは腹が立ち、
「そんなことまだ考えられません。葬儀にも出ないで失礼なこと言わないでください。」と。

「そんなこと言ったって、法律上は俺にも相続する権利があるんだよ。遺言書もないんだろ?
それなら俺の相続分は1/4だよ。もらえるものはもらっとかないとな。」
悪男さんは近所の無料法律相談で、相続のことを相談していたようです。

「そんなこといきなり言われても・・・。とにかく落ち着いたらまた連絡しますから。」
泰子さんは、相続のことなどまったく考えもしなかったので悪男さんに何も言い返すことができませんでした。

1か月後、泰子さんは悲しみからようやく立ち直り、正さんの遺産がどれだけあるのかを調べました。
自宅と畑を含め不動産が3000万、正さんが泰子さんのために貯めていた現金が1000万の計4000万でした。

そして、近所の無料法律相談に出向き、一連の説明を聞き、悔しさとも悲しみとも何とも言えない感情がこみ上げてきました。

結局、泰子さんは悪男さんに遺産の1/4を分けることになってしまったのです・・・・・。

●解説
今回のケースの問題点は遺言書がなかったことに尽きます。
「遺言書」がない場合の分割方法としては、遺産分割協議か法定相続になります。
そして今回のケースでは、弟の福岡悪男さんは法定相続分の1/4を主張してきたわけですね。
更に、「遺言書」で分割方法を決めていたとしても「遺留分」というものが存在します。
民法では、相続人が相続できる最低限の相続分として「遺留分」というものが定められています。
遺留分の割合は、下表のとおりです

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例えば、遺言で「お世話になったお隣さんに全財産2000万を遺贈する。」と書いてあり、配偶者しかいない場合は、配偶者には2分の1の1000万を請求する権利があるということになります。

泰子さんのための現金の存在からも推測できるように、正さんは泰子さんに今後苦労させたくないという想いがあったものと考えられます。そのために泰子さんに全ての遺産を相続させるためにはどのようにしたらいいのでしょうか。

それは「遺言書」で「泰子に全財産を相続させる。」と書いてあげればいいのですね。
上の表にもありますように、兄弟姉妹が相続人の場合は「遺留分なし」なのです。
「遺言書」さえあれば、全財産を泰子さんに相続させることができ、生活に困るようなことはなかったはずです。

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●事例その2
仲の良かった家族。
取り分を分ける者たちでの話し合いの結果は・・・・・。

都内の有名企業で営業マンとして30年間働き続ける糸島太郎さん。
その妻である糸島花子さんは、家族のために働く夫を支え続けています。
糸島夫婦は、長女の和子・長男の一郎・次男の太一という3人の子供に恵まれ、それぞれ大学も出て今では立派な社会人です。

和子さんは都内の広告代理店で働くキャリアウーマン。銀行員の二丈浩一さんと結婚し、マンションも購入して忙しくも充実した日々を過ごしています。
一郎さんは福岡市内で飲食店を経営しており、事業が徐々に軌道に乗ってきて、両親に心配されていた結婚のこともやっと考える余裕が出てきました。
太一さんは父の太郎さんと同じ会社で営業マンとして働いています。取引先の会社の事務の女性と結婚し、今では二人の子のお父さんです。
家族は年末年始やお祝いごとには必ず集まり、太郎さんもその日を楽しみにしており、仲睦まじい理想的と言えるほどの家族です。

太郎さんは子どもたちも自立してそれぞれの道を歩んでいることに大変満足していました。そこで太郎さんは、都内の忙しい生活から抜け出して少し早目のセカンドライフを始める決意をしました。
以前から長男の一郎さんからよく耳にしていた「糸島市」を好きになり、そこに太郎さん名義の戸建を新築することにしました。
ですが、老後のこともあるので、家族と話した結果、ちょうど福岡にいる長男の一郎さんと同居して、先は面倒を見てもらうということになりました。

糸島市に移り住んで10年・・・・・。

糸島夫婦は充実した生活を送り、都内では考えられないような大自然と触れ合いながら人生を送っていましたが、太郎さんが病に倒れ入院してしまいました。
同居している一郎さんは、飲食店はスタッフに任せ、太郎さんにつきっきりで看病しました。
その甲斐もなく、太郎さんは亡くなってしまいました。

こうして糸島家の“争族”が幕を開けました・・・。

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太郎さんが亡くなった悲しみからようやく立ち直った糸島家。

家族で遺産について話をすることにしました。
色々と調べた結果、花子さんと一郎さんが同居している土地と建物が6000万円、現金が600万円。
遺言書はありませんでした。
取引先に弁護士事務所があるため、相続について若干の知識がある和子さんが口を開きました。
「遺言書がないから、この場合は法定相続になるわね。お母さんが1/2、私が1/6、一郎が1/6、太一が1/6ね。」
すると、一郎さんが
「いや、ちょっと待ってよ。俺が母さんと住んでいる家はどうなるの?俺は出ていかないといけないの?」と。
和子さんは分かってないわねとでも言いたげに答えます。
「住むのは構わないけど、私たちも持分を持つことになるから、家賃を払ってもらうことになるわね。家族でもその辺はきっちりしておかないと、後々トラブルになるのは嫌だからね。太一もそう思うでしょ?」
「そうだね・・・・・。」
最近、太一は会社での営業成績の不振や子どもの受験も重なり、生活が困窮していた。

最後に和子が話をまとめるようにこう言った。
「じゃあこれで決まり。近いうちに賃貸借契約書を持ってくるから、それにサインすれば今回の相続はこれでもう終わりね。」

●解説
今回のケースでは、①相続に関する知識が少なかったこと、②遺言書がなかったことが問題点として挙げられます。

まず、①について。
遺言書を書いていない場合の遺産の相続方法としては、法定相続と遺産分割協議があります。
今回は遺産分割協議という方法で、相続人で話し合いをして分け方を決めればもっと建設的なお話ができたはずです。
それができなかった原因は、相続に対する知識不足です。相続の知識や手続きの流れが分かっていれば、仲違いもせずに今後も良好な関係を継続させることができたと思われます。

次に、②について。
太郎さんは家族の関係が悪くなることなんて決して望んでいなかったと思います。
太郎さんが望むのは、家族がこの先も仲良く幸せに暮らしていくことを望んでいたように思います。
その想いは亡くなってしまえば、誰も伝えることはできません。その想いを伝える手段としても「遺言書」は活用できるのです。
それが「遺言書」に書き記す「付言」です。この「付言」は、財産の分け方の根拠や家族に対する想いを書き記すものです。

遺言書の内容として下記のように作っていれば争いは防げたのではないかと思います。

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